ねりまの文化財を訪ねて=13=
ねりまの文化財を訪ねて
石畳の道
高松二丁目の旧清戸道(きよとみち)に面した一角に石造物があります。その中で角柱形のものが宮田橋敷石供養塔です。
この付近では、石神井川はかつていくつかの流れに分かれていました。宮田橋は今はありませんが、石造物がある一角より少し南東にあり、石神井川の流れの一つにかかる清戸道の橋でした。敷石供養塔は、文化四年(1807)9月、宮田橋付近で石畳の道が整備されたのを記念して橋の近くに立てられました。宅地化に伴い、昭和44年に現在の場所に移りました。
改修前の石神井川は、曲折が激しく、よく氾濫(はんらん)しました。宮田橋のあたりは常に湿地となっており、通行人の歩きやすいように、ぬかるみに石が敷かれて、石畳の道となりました。
敷石供養塔は高さ74㎝で、正面に「敷石供羪塔」と刻まれています。裏面には造立年月とともに、上練馬村高松世話人万吉など道路の整備にかかわったと思われる多数の人の名前が刻まれています。
側面には、清戸道沿いの地名が刻まれています。区内の地名のほか、所沢・清瀬・新座などの旧村々の名前もあり、清戸道を頻繁に利用する地域の人々にとって、道の整備が悲願であったことがうかがわれます。
自動車が行き交う旧清戸道に今も残る敷石供養塔を見かけたら、悪路を克服しようとした人々の願いに思いをはせてみてはいかがでしょうか。
▽所在地 高松2-3
▽問合せ 区役所内伝統文化係
平成12年11月11日号区報
写真上:宮田橋敷石供養塔(令和4年)
写真下:宮田橋敷石供養塔(右)と高松の庚申塔(左)(令和4年)
◆宮田橋敷石供養塔(区登録有形文化財・平成3年度登録)
◆高松の庚申塔(区登録有形民俗文化財・平成3年度登録)